| 俳句鑑賞
 湘子の感銘句
 
はじめに
初みくじ
一盞は
四萬十の
花に鳥
わが不思議
蠅叩
父に金
血の中の
海藻を
生きてゆく
落葉して
人参は
 Haiku-Top
 
 by Ikuma Wadachi
 
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 第三句集『白面』より
 海藻を食ひ太陽へ汗さゝぐ    藤田湘子
 かつて中央例会の懇親会で、湘子先生が若かりし頃の写真をみんなに見せて笑っていたことがある。若い頃は髪がふさふさ生えていた証拠なのだと。確かに、おっと驚く美青年であった。
 昔から若布や昆布、海苔、鹿尾菜などの海藻を食べると毛髪にいいと言われていた。そんなことも一句の裏にはあるのかもしれない。しかし、「海藻を食ひ太陽へ」からは、逞しい海の男が想像されてならない。映画『太陽がいっぱい』の半裸のアラン・ドロンのような。
 「汗さゝぐ」、それは勤労への感謝であろう。国鉄広報部に務め、「鷹」創刊へ情熱を燃やしていたのだ。
 その三年後、昭和四十二年、「馬酔木」編集長を辞任。「飼ふならば啄木鳥よりは鷹萩点々」はその頃の作。
 
 
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