| 俳句鑑賞
 湘子の感銘句
 
はじめに
初みくじ
一盞は
四萬十の
花に鳥
わが不思議
蠅叩
父に金
血の中の
海藻を
生きてゆく
落葉して
人参は
 Haiku-Top
 
 by Ikuma Wadachi
 
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 第十一句集『てんてん』所収
 初みくじ結ひし無数の指想ふ   藤田湘子
 『鷹』が届くと真っ先に読むのは、湘子主宰の発表十二句であった。
 このページだけは、じっくりと何度も何度も読み返し、これはと思う一句に○印を付けるまでは、自分の句が何句採られたかなどとフラフラ先読みすることは無かった。そして、後日投句用紙の裏に、選んだ先生の今月の一句を書き写すのが私の流儀であった。
 師と選んだ限り、六句の投句で対決するのも、選句で対決するのも、その比重は同じものだった。選、それこそが俳人への批評、鑑賞であり、多言を尽くしたところで、それ以上の褒称には当らない。
 湘子七十九歳の正月。同時発表作に「カツサンド見れば食べたし福豆も」などもあったが、私は「無数の指」が鷹衆のそれぞれに思えて仕方がなかった。
 
 
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