5. 田辺 陶豊 : Toho TANABE
5. 田辺 陶豊 : Toho TANABE
田辺陶豊先生は、「板作り」と呼ばれる陶芸技法を特徴としていました。 2024.07.04 up.
緊張感と酩酊感
不連続の連続
風を感じ 目を閉じる
いつも浮かぶは コバルトブルーの空と風
私たちの生まれ育った この地から
思考を形に 創造しよう
ふるさとを いつも心の支えとし
多くのことを 受け継ぎながら
君に思いを 伝えよう
この地より 文化創造を発信してゆく
橋村るみ
一彦
2024年6月、四万十市総合文化センター(しまんとぴあ)
アートスペースで、開館記念現代工芸展が開催されました。
初めて見た陶豊さんの墨彩、
「躍動」と「内省」の大きさと緊張感に圧倒された。
陶芸や彫刻作品は何度も実物を見ていたが、
この墨彩は初見であった。
生命力に歓喜するとは、まさにそのまま。
墨の濃淡と滲みの具合、筆の走りと垂らしとかすれ。
一芸に秀でた作家なら、その才能を思う存分他分野の
芸術作品にも表現できる証ともいえた。
一彦さんの「想」のフォルムと色も美しい。
るみさんの「命・記憶」、「記憶」の内包力。
久しぶりに見た陶豊さんの「KAI」や「波」の造形力。
言葉にできないエネルギーがびしびしと伝わり、
心底から作品と対面できる喜びに満たされる。
小品を展示せず、3人の大作だけを並べた会場。
それぞれの作品が目に見えぬレーザービームを放ち、
通り抜ける度に、次はあの作品を見ろと指し示し、
心地よい酩酊感さえ与えてくれた。
一彦さんの「不連続の連続」シリーズの空間も見逃せない。
陶豊さんの「曼荼羅」の空間を受け継ぎ、飛翔させている。
見たかった「風門」も、いろんな角度から眺められた。
あれを書きたい、これを書きたいと3日思案。
しかし、言葉にできないからこそ、工芸家は器物を創る。
不連続で有っても、造り続けるからこそ、命が宿る。
田辺陶豊、橋村るみ、橋村一彦さんに感謝を捧げたい。
梅雨明けを待つかのように、熊蝉が鳴き始めた。
by Ikuma Wadachi
Copyright © 2013-2024 IAM & Toho TANABE. All rights reserved.