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詩の出処
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   岡本弥太 詩集「瀧」より




        と み こ   きちがいのこわれた山のうちのとみこ みぞれがいつもふつてゐるような暗いかほのかしこいとみこ たれがなぜ おまへのこわれたうちの一つのでんとうせんまできらなければならないか 気がくるつてわめくちゝのそばで おまへは あらくれの工夫の手にすがつて きらずにおいてくれと 小さいあかぎれの手で拝んださうではないか おまへのいじけたゐでんのすがたのうしろには いつもかまのような月だけが光つてゐるのに なぜ 山のくらい時雨風といつしよに きちがいの火のないうちがそのまゝ天へせりのぼることができないか 重い柴を小さい肩に負はされて あかぎれの母とくらいうちにかへるとみこ おまへのくれた椎の実は虫だらけであつたが



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